【先生から学生の皆さんへのメッセージ】
「講義を通して身につけてほしいこと」
1時間半という限られた時間の中でお伝えできたことは少ないと思います。
子ども虐待については社会的な関心も高まっていますが、それでも虐待の結果で亡くなってしまう子どものニュースが絶えません。
こうした事件が起きるたびに、虐待を行った親には世間から厳しい声があがります。
国でも毎年、虐待による子どもの死亡事例に対する検証報告を出しています。事件が起きてしまった要因として、支援機関の連携が不足していた、リスクに対するアセスメントが不十分だった、虐待のサインを見落としていた、等々が挙げられていますが、いつももっと何か大きな視点が足りないような気がしていました。
それは「親はどのような気持ちだったのか」という点です。
関係機関から保護者への連絡がつかなくなったり、保護者が関りを拒否したりする中で虐待が進行し、ついには重大な結果になってしまった場合も多いのです。しかし、なぜほど者が関りを拒否したのか、なぜ連絡に応じようとしなかったのか、保護者自身の言葉で語られていることが少ないのです。
何が拒否につながってしまうのか、どんなやり方なら受け入れてもらえたのか、という振り返りが必要だと思うのです。
よく虐待の背景には保護者自身の育った環境が影響している、虐待は連鎖する、等と言われます。
公的な相談窓口もたくさんありますが、相談してもあまり良い思いを持てなかった人、相談することに大きなためらいがある人、そもそもそうした情報にアクセスできない人などもいます。
誰でも自分の子育てを批判されたり、自分なりの努力していることを認めてもらえなかったら、良い気持ちはしないでしょう。
今回お話しした事例のお母さんも、子供と一緒に暮らしたい、といおう気持ちはあるのです。叩いたり怒鳴ったりがよくないこともわかっているけど、どうすればいいのかわからなかった。保育園からの助言も「甘えさせるだけだと思って受け入れられなかった」と言っています。
支援する側が良かれと思っての助言でも、本当にその人の気持ちに届いているかどうか・・・
以前に受けた研修でこんな話がありました。「『助言』が一番良くない。助言しようと思った瞬間、目の前の相手から意識がそれる。『助言』はここぞという時までとっておく。あなたが言いたいのはこういうことかな?と一生懸命想像してみる」。
本音を話して理解してもらえる人や場所が周りにあれば、親の気持ちも楽になるのではないでしょうか?
保育士という仕事を通して多くの親ことを関わるときに、こうした視点を思い出してもらえればと思います。